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帰国後の教育

帰国後の学校選び

①学校選びのポイント

学校を選ぶ際、大切なことは、子どもと学校の相性をしっかり見極めてミスマッチを避けることです。そのためには、次の観点から学校の様子をできるだけ調べ、子どもの学力、性格、家庭の教育観に合った学校を選ぶことが重要です。(学校文化(校風)、教育方針、教育課程の特色、選考方法、帰国生の在籍者数、入学後の受け入れ体制、部活動や学校行事、卒業生の進路、施設設備、通学時間など)
また、子どもと学校の相性をみるうえで、一番効果的なのは実際に学校を訪ねてみることです。その中で授業や部活動の様子を見学できる場合もあり、校内の先生の話を聞くことで帰国生に対する学校の姿勢をよみとることができます。

② 国立大附属小学校の帰国子女学級

お茶の水女子大学、東京学芸大学、京都教育大学など国立大学の附属小学校には「帰国子女学級」が開設されているが、一般に、在外期間がとても長くて、日本語の基礎から教える必要のある児童が対象である。いわば公立小学校の学習についていけない児童のための特別クラスなのに、「国立大附属」というブランドイメージに惑わされると悩みや不安が増してくる。
ある程度、日本語ができるならば(とくに在外期間が 3 年程度あるいはそれより短ければ)むしろ近所の公立小学校の方が良い、という考え方も一理ある。しかしいったん公立小学校に編入してから「学校を間違えた」という例が多いのも事実である。学校自体が帰国児童にまったく配慮してくれない学校だったり、通学時間が極端に長くて子供の負担過多だったり(越境通学)など理由はいろいろだが、子供の状況をよく見ないで親が決めてしまうと後が大変になる。適応教育をこじらせてから専門家に相談しても解決策はなかなか見つからない。
ともかく、同じ両親の子供でも全く性格が異なったりするように、同じ環境で育ってきても、子供の心身の成長状況は様々なので、帰国後の学校は慎重に選びたい。国立だからといって、どの子にも良いとは限らない。子供を連れて、いろんな学校を見て回ること。「ここが良い」と子供が顔を輝かせる学校に出会うまでは、諦めないことである。「学校が決まってから住むところを探せば良い」くらいに考えてほしい。(帰国後 2 週間は、住民登録の猶予がある)附属中学校に進学できるかどうかは、中学校の校長・副校長の判断次第だが、ほかの中学校に行く子供も少なくない。

③ 帰国児受け入れに慣れた幼稚園

海外の現地校や国際学校の幼稚部で学んできた幼児向けの幼稚園といえば、国内のインターナショナルスクールの幼稚部しかない。日本の学校教育法に基づいて設置される幼稚園で、帰国子女の受け入れをうたった幼稚園はないし、帰国子女受け入れの体制が整った幼稚園もない。ただし、帰国子女や外国籍・二重国籍の子供が多く通っているところは、いくつかあるので、こまめに探してみることである。

英語の保持方法

海外生活で身につけた語学力は帰国子女にとって大きな財産である。帰国後は英語の忘却が早いスピードで起こるので、帰国後すぐに教室を探し、日本の学校生活に慣れるのと同時に英語保持教室などに通うのがよいだろう。

総合的な英語力の保持

公益財団法人海外子女教育振興財団では小学 2 年生から高校 3 年生までを対象に、「帰国子女のための外国語保持教室 ( 英語 ・ 仏語 )」を開設している。授業は「読み」と「書き」を柱に、「話す」「聞く」も使い、4 技能を駆使する。本を使って総合的に 4 技能を伸ばすクラスのほか、Writing 力を高めるクラスや、理科クラス、自分の意見をスピーチするPub1ic Speaking クラスもある。全国9か所で教室を開設しているほか、教室に通えない帰国子女のための WEB クラスもある。

① サマースクール

帰国後、幼稚園児が参加できるサマースクールにも、デイ・キャンプ(通い)と宿泊型がある。詳しくは、下記に問い合わせてみるとよい。アウトワード・バウンド協会のキャンプは、小学 3 年生以上が対象。
○アウトワード・バウンド協会(小学 3 年生以上が対象)
電話 03-5854-7227
https://www.obs-japan.org/
○モデル・ランゲージ・スタジオ(MLS)
電話 03-3320-1553
https://mls-co.com/
○IES 英会話
電話 0120-753-109
https://ies-english.co.jp/

② 英語で社会科の勉強

最近、英語の保持教室はずいぶん増えてきたが、英語で社会科や理科の授業を行っている保持教室は意外と少ない。(家庭教師や個人教授で社会科や理科の指導を受けるのは、比較的容易である)
学習塾では、ABCD 学院が「帰国子女バイリンガルコース」を開設している。アメリカの公立校並みの内容で、質的には問題ないが、受講料もかなりの値段である。
○ABCD 学院
電話 03-5365-1341
https://www.abcde.co.jp

③ 英国の発音保持

英国の私立学校に子供を通わせていたので、クィーンズ・イングリッシュをキープしたいという保護者も多い。気持ちはわかるが、あまりこだわり過ぎると子どものストレスにつながるので、ほどほどにしたい。

個人授業なら

○後楽園イングリッシュセンター
電話 03-3515-6363
https://www.project-genius.jp

教室で仲間と学ぶなら

○ハンプトン・スクール・オブ・イングリッシュ
電話 03-3406-1231
http://www.hamptonschool.com/

英国流をお望みなら

○ブリティッシュ・スクール・イン・東京
電話 03-5467-4321
https://www.bst.ac.jp
ちなみに、ブリティッシュ・スクール・イン・東京校(電話 03-5467-4321)は渋谷教育学園に隣接している。徹底的に英国流をお望みならこちらが良いだろう。

④ イマージョン教育の支援組織

2020 年度から小学校に「英語科」を設定する方針が決まり、すでに様々な「英語運用指導法」が試されている。海外から帰国した教師の中には、英語のイマージョン教育(英語で体育や音楽、図工を教えることなど)に挑戦してみたいという教師も少なくない。
東京都教育委員会では、モデル・ランゲージ・スタジオ(MLS)という学校に、教職員研修を委嘱している。外国人講師に頼るよりも、現役の教師に頑張ってもらおうという方針のようだ。ドラマメソッドを使って、子供達にボディーランゲージを楽しく体得させていく指導法で、使いやすい教材・教具も提供される。教材監修には文科省の元教科調査官(英語)も関わっているので、内容もしっかりしている。

⑤ 英検と TOEFL の相関

留学資格で「TOEFL (トーフル)550点以上」というのは、英検でいうと何級くらいだろうか。また、TOEIC(トーイック)という試験との違いは何なのだろうか。
ある私立学校で、英検(実用英語技能検定= STEP)と TOEFL との相関を調べたところによれば、英検一級= 560 〜610 点、準一級= 500 〜 560 点、二級= 440 〜 500 点となったようである。(あくまで目安だが)最初から「腕試し」で TOEFL を受けるのは受験料がもったいないので、団体内試験(ITP)を受けてみるとよい。詳しくは、一般社団法人 CIEE 国際教育交換 協議会 CIEE Japan まで。
TOEIC は、英語によるコミュニケーション能力を測定するために実施されるものである。主にビジネスマンが対象だが、日本の民間企業に就職したい人にも根強い人気がある。TOEFL が英語圏の大学などを受験したい人が対象なのに対し、TOEIC はさまざまな分野の、より広いレベルの能力を測定しようとしている。どちらも ETS(米国ニュージャージ州プリンストン市)が実施しているが、日本国内における TOEIC の運営は別の組織に任されている。