お金に関する手続き
日本の口座の継続利用
近年マネーロンダリングの防止などを目的とし、非居住者へのサービスに対して金融庁の指導が厳格化しており、その結果、多くの金融機関が海外赴任者へのサービスを縮小している。そのため赴任者にとって有益なサービスは姿を消しつつある。
特に海外から日本国内口座を操作できる仕組み(インターネットバンキング等)はこの規制の対象になりやすいので注意が必要だ。同様に赴任前の銀行への対応にも注意を要する。海外赴任を理由に口座の解約を求められるケースも出ているようである。その一方で、資金を移動せずに国内銀行残高を海外で利用できるサービスも出てきている。
国際クレジットカード
クレジットカード(Master Card、VISA、DC、JCB、Amex など)は赴任地でも取得できるが、申請後カードが発行されるまで 1 〜 2 か月かかることもある。赴任直後に宿泊するホテルのデポジット(預入金)などにはクレジットカードがあると便利なので、日本で取得しておこう。赴任前に持っているカードは、一般的に日本国内の金融機関の口座から振り替えられるシステムになっている。口座残高の管理、カード利用代金(請求)の明細書やカード更新時の新カード受け取り方法などには十分注意したい。
日本国内の口座で決済する場合は為替手数料がかかる。
国際クレジットカード以外
海外赴任者や海外旅行者、留学生などに重宝がられているのが、日本の銀行口座から必要な現金を現地通貨で引き出せるデビットカード、マネパカードなどである。(クレジットカードとは異なる)
主に新生銀行、SMBC 信託銀行プレスティアが発行しているので、クレジットカードとともに用意しておくと便利である。
デビットカードなど は、VISA やMaster などの国際的な ATM ネットワークを使って運用されており、200 以上の国・地域に設置されている CD(現金支払い機)・ATM(現金自動預け払い機)から引き出す。
現地で引き出された外貨は、最終的には円に換算されて総合口座から引き落とされる仕組みになっている。換算レート、手数料、サービス内容については、それぞれの銀行で異なる。
クレジットカードやキャッシュカードが紛失・盗難にあった場合は、銀行にカードを停止する旨の連絡を入れ、必要な手続きをとる。銀行によっては、提携している旅行会社で代替カードを受け取ることもできる。詳しくは、取り扱い銀行に問い合わせるとよい。
赴任のための準備資金
赴任者には、国内給与のほかに支度金・渡航費補助、在外勤務手当などが支払われるとしても、それ以外に多少の自己資金を準備しておく必要がある。移動経費や、現地の物価水準などを調べて、赴任前後にかかる諸費用を試算し、当座必要な資金を準備しておこう。
赴任のための準備資金をどのくらい用意したらよいかは、赴任地の物価や家族状況、また赴任予定期間や現地での収入などによってさまざまである。一般的に、海外駐在員の場合は、勤務先が引越しにかかる費用や現地における家賃の面倒、語学研修費用などをみてくれるが、それでも赴任前後は細かい費用が発生するので注意が必要だ。
たとえば、出発前に現地に持っていく物を購入するなど。子供を連れていく場合は、現地における教育教材の購入なども見込んでおかなければならない。それらを総計すると、大きな出費となる場合が多い。
赴任後は子供の教育費のほか、生活に必要な家具や家電、あるいは車なども購入しなければならないかもしれない。特に車は、中古車をうまく購入できないと出費がかなりかさんでしまう。