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赴任前研修

【人事ご担当者のお悩み】

海外駐在予定者を抱える人事ご担当者の悩みは様々で、多くの企業で体系的なグローバル人材育成の構築に苦慮されている状況です。

そのような中、海外駐在員が期待通りのパフォーマンスを発揮できるためにどのような研修が適しているのか、といった声を多くの人事ご担当者からお聞きいたします。

【駐在国の多様性と海外駐在員の悩み】

企業にとって初めての進出先、あるいは海外駐在員数が少ない場合、現地特有の生きた情報入手が簡単ではなく、海外駐在員は本来の業務取組み以前に、現地での生活や会社になじめず苦労される場合があります。

駐在国の会社形態が、子会社や合弁会社等様々で、事業内容や駐在国での役職によっても求められる能力や知識も大きく異なることがよくあります。

海外駐在員も、現地社員とのコミュニケーションがうまくいかない、これまでの業務のやり方が通用しない、ポジションが上がって責任範囲が広がった等、様々な課題に対応するための十分な教育を受けておらず、現地社員と日本の会社との板挟みになって悩まれているとの事例も多く聞かれます。

【海外駐在前研修のポイント】

海外駐在予定者向けには、社内で導入している研修(新入社員研修、業務研修、昇格時研修等)とは別に、特に海外勤務あたって注意すべき点を学ぶことができる研修を実施されることをお勧めします。

① 業務を円滑に立ち上げるため、駐在国や地域の歴史や文化、ビジネス慣習等を学ぶ地域事情研修

② 異なる文化背景を持つ現地社員との協業成果を最大化させるための異文化理解研修

③ 海外会社の経営や、経営サポート職務を遂行するためのマネジメント専門研修

④安全配慮が重要な海外での基本的な心構えや安全対策を学ぶ海外安全研修

⑤英語だけでなく、駐在国の言葉を学び、普段の生活や業務に役立つ語学研修マネジメント専門研修では、例えば、日本で部下を持ったことがない、採用に関わったことがない海外駐在員に、採用、評価、時には解雇等の海外特有の人事対応を理解し、身につける海外人事労務研修。

海外会社経営で特に重要なキャッシュフロー経営や、不正を牽制するポイントを学ぶ海外財務管理研修。業務で関わりが増える契約書へのサインで気を付けることを学ぶ、またコンプライアンス事故を未然に防止するための国際法務・契約研修などが挙げられます。

研修実施にあたっては、まず社内での講師人材リソースを確認し、更に強化したい分野を社外研修会社の活用で補う場合が多いですが、いずれの場合でも、日本人が陥りやすい事例を熟知し、自ら海外で経験したことがある講師の研修を選ぶことが重要です。

【研修の効果】

通常、研修はテーマあたり3~4時間になっております。専門研修に関しては短時間で全てを身につけることは簡単ではありませんが、本人の理解や知識の不足への気づきが重要で、赴任後に重要になる日本の組織とのネットワークづくりのきっかけにもなります。

【最近の事例】

オンライン研修が主流となり、受講対象者が増える傾向があります。これまでの集合研修では、海外駐在員向けだったものから、グローバルビジネスに携わる国内勤務社員や赴任済みの社員も対象に広げる事例が増えてきております。オンラインであっても講師との双方向性を維持できる研修かどうかを見定めることも重要です。また、 従来は赴任時期の2、3 か月前に研修実施するのがほとんどでしたが、最近では海外渡航後の隔離期間を活用する例も増えてきております。

学習中の不明点や疑問をその場で解決でき、社員間の交流機会にも役立つ集合研修の良さがオンライン研修でも引き継がれております。

また、e-learning を活用されている企業もあります。受講時間の制約が少なく反復学習等のメリットもありますが、情報や知識の一方通行にならないように、導入にあたっては効果が見込める分野かどうか判断することが重要です。

【まとめ】

海外駐在員の限られた赴任期間でのミッション遂行のため、社内の研修で不足している分野の有無を確認した上で外部研修会社を活用すること、また海外駐在前研修だけではなく、中期的なグローバル人材、要員育成の構築を念頭に研修を企画、実施することが重要になってきています。