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身近にある感染症のリスク

平良 孝子(会社員)

ジャカルタに赴任して10日余りで、腸チフスに出合った。といっても私自身ではなくスタッフ。お腹をこわし数日間調子が悪そうだったが、診断結果が腸チフス。日本では感染症に定められている病気で、あまりにもなじみのない名前だったため、驚いて何回も聞き直してしまったほどだった。

それから数週間後、デング熱が登場。別のスタッフが入院したのだ。うわさには聞いていたが実際に知人が感染したのは初めて。いったいどうやって感染源の蚊から身を守るのだと動揺してしまった。そうこうしているうちに、新型インフルエンザが流行し、マスクや消毒用品の配布・備蓄や対策ガイドラインの策定など、赴任前には想像していなかった業務に直面した。

また、ある日には結核騒ぎがあった。日本人スタッフが日本出張から戻ってきてから激しい咳を伴う風邪を引いていたのだが、出張時に結核感染者に接触した可能性があるというのだ。取り急ぎ検査に行ってもらったのだが、病院側の回答は「ここでの検査では確定できない。シンガポールに行かなければならない」というもの。どうしたものか思っていると、「まぁ、インドネシアは世界第3位の結核感染者大国。日本と比較にならないくらい接触の可能性は高いですよ」とのお言葉。不安というより、逆に開き直ったような気持ちになったのが正直なところだ。件の日本人は風邪薬を処方され、その後、数日で良くなったが、国によって医療水準が異なることを認識させられた。

さらに身近な感染症がアメーバ赤痢。「下痢が続くな」と思っていたらたまたま受けた定期健康診断で発覚、即呼び出されて治療を受けた、というのんきな同僚の話がこの感染症との出合いだった。また、別の同僚は下痢と高熱で発症。そのうち軽いけいれん症状を発したため、深夜に電話を受け慌てて迎えに行き救急病院に運び込んだというケースもある。人によって発症はさまざまなようで、油断は禁物と肝に命じた。

またこうした感染症以外に、いわゆる「Welcome to インドネシア病」といわれる症状も。こちらに来たばかりの外国人が当地の環境に慣れるまでに体調を崩してしまった状態とでも言おうか。吐き気や下痢、腹痛などの症状から病院へ行った同僚が医者に言われたのがその病名。胃腸炎ということなのだろうが、何の感染症かと不安になった気持ちを和らげてくれた診断だったという。同僚は数回の点滴と絶食または食事量を少なくすることで完治、同時にインドネシア生活への自信を強めたのだった。

赴任してからこんなにも感染症が身近にあるということに驚かされた。インドネシア人も外国人も関係なくそのリスクが与えられているのである。究極の予防策は自分自身の免疫力を強くすること。すなわち、偏らない食事、適度な運動、十分な睡眠、そして楽観的な思考に尽きるだろうと思っている。