お金に関する手続き

日本の口座の継続利用

海外で生活することになっても、引き続き日本の銀行を利用する機会は多い。海外で日本国内と同様のサービスが受けられるように、日本を出発する前に国内の銀行に普通預金の総合口座を開設しておきたい。
各銀行共通のサービスとしては、1.国内での給料やボーナス、配当金、不動産の賃貸料などの受け取り、2.海外への送金、3.公共料金、税金、保険料、各種ローンなどの支払い、4.学費や生活費などの定期的な送金、5.慶弔金や買物代金など臨時の支払い、6.余裕金の運用、7.株式、有価証券、貴重品の管理、8.収支明細などの送付、などがある。

国際クレジットカード

クレジットカード(Master Card、VISA、DC、JCBなど)は赴任地でも取得できるが、申請後カードが発行されるまで1~2か月かかることもある。赴任直後に宿泊するホテルのデポジット(預入金)などにはクレジットカードがあると便利なので、日本で取得しておこう。赴任前に持っているカードは、一般的に日本国内の金融機関の口座から振り替えられるシステムになっている。口座残高の管理、カード利用代金(請求)の明細書やカード更新時の新カード受け取り方法などには十分注意したい。
日本国内の口座で決済する場合は為替手数料がかかるが、外貨で現地決済できるクレジットカードで出国前に取得できるものもある。クレジット会社か取り扱い銀行に相談してみるとよい。

国際キャッシュカード

海外赴任者や海外旅行者、留学生などに重宝がられているのが、日本の銀行口座から必要な現金を現地通貨で引き出せる国際キャッシュカードである(クレジットカードとは異なる)。主要都市銀行などで取り扱っているので、クレジットカードや旅行小切手(トラベラーズチェック)などとともに用意しておくと便利である。
国際キャッシュカードは、VISAカードやMaster Cardなどの国際的なATMネットワークを使って運用されており、100以上の国・地域に設置されているCD(現金支払い機)・ATM(現金自動預け払い機)から引き出す。
現地で引き出された外貨は、最終的には円に換算されて総合口座から引き落とされる仕組みになっている。換算レート、手数料、サービス内容については、それぞれの銀行で異なる。 クレジットカードやキャッシュカードが紛失・盗難にあった場合は、銀行にカードを停止する旨の連絡を入れ、必要な手続きをとる。銀行によっては、提携している旅行会社で代替カードを受け取ることもできる。詳しくは、取り扱い銀行に問い合わせるとよい。

トラベラーズ・チェック

赴任直後の当座の資金として用意したいのがトラベラーズ・チェック(以下T/C)だ。T/Cというと旅行者が使うものというイメージが浸透しているが、海外赴任時にもなにかと重宝する「お金」で、しかも安全である。
1.現金よりも交換レートがよい 2.紛失・盗難などの場合に安全(本人以外使用できない) 3.銀行のほか全国の郵便局などでも購入可能-などの特徴がある。
T/Cはショッピングやレストランを利用する際、サインひとつで支払いができるだけでなく、現地の銀行に持ち込んで現金化することも可能だ。赴任直後に多額の現金を持ち歩くのではなく、T/Cを活用してよりスマートに、より安全に支払いをすませたい。

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国際キャッシュカードの代表的なマーク
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欧米では利用されることの多いパーソナルチェック

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赴任のための準備資金

赴任のための準備資金をどのくらい用意したらよいかは、赴任地の物価や家族状況、また赴任予定期間や現地での収入などによってさまざまである。一般的に、海外駐在員の場合は、勤務先が引越しにかかる費用や現地における家賃の面倒などをみてくれるが、それでも赴任前後は細かい費用が発生するので注意が必要である。
たとえば、出発前に現地に持っていくものを購入したり、赴任前の語学研修費用などがかかったりする。子どもを連れていく場合は、現地における教育教材の購入なども見込んでおかなければならない。それらを総計すると、大きな出費となる場合が少なくない。
赴任後は子どもの教育費のほか、生活に必要な家具や家電、あるいは車なども購入しなければならないかもしれない。とくに車は、中古車をうまく購入できないと出費がかなりかさんでしまう。
赴任者には、国内給与のほかに支度金・渡航費補助、在外勤務手当などが支払われるとしても、それ以外に多少の自己資金を準備しておく必要がある。移動経費や、現地の物価水準などを調べて、赴任前後にかかる諸費用を試算し、当座必要な資金を準備しておこう。

失業保険の手続き

夫の海外赴任により妻が現在の勤め先を退職して任地に赴く場合、妻の失業保険の取り扱いはどうなるのであろうか。
雇用保険制度の代表的な給付である基本手当が受給できる期間は、原則として離職の翌日から1年以内である。ただし、病気などの理由により受給する時期を最大で3年間延長できる特例があり、事業主の命により海外赴任する配偶者に同行する場合も受給期間延長の理由の一つとされている。つまり、出国の日から帰国の日まで最長3年間の延長が認められることになる。
基本手当(失業保険)は通常、離職の日の翌日以降1年のうちに受給しなくてはならない(これを受給期間という)。たとえば、夫の海外赴任に同行する妻が、離職後3か月を経過して出国し、3年間の任期ののちに帰国した場合は、受給期間の1年間から3か月を引いた9か月間が残りの受給期間ということになる。
手続きは居住地を管轄する公共職業安定所に、出国の日から1か月以内に出国確認のための、①パスポートの写し、 ②海外赴任の辞令(配偶者の勤務先発行)、③婚姻関係が証明できる書類(住民票、戸籍謄本など)を添付して申請する。
ただし、出国後の手続きは現実的に困難なので、パスポートの写し以外の書類を事前に提出し受理してもらい、あとからパスポートの写しを郵送することも可能である。また、代理人による申請も可能なので、親戚などに手続きを依頼する方法もある。
公共職業安定所での手続きが完了すると通知書が郵送され、帰国の際にその通知書を、居住地を管轄する公共職業安定所に提出する。
通知書は海外へは郵送してもらえないので、国内の親戚や知人などに送付してもらうように依頼する。帰国後は、延長期間ではなくなるのでただちに手続きを行う必要がある。何か月も放置していると受給期間が終了してしまうので気をつけよう。
基本手当(失業保険)の給付は「職につく意思があり、求職活動をしている者」が対象となるので、帰国後に職につかず専業主婦となるような場合には、給付は受けられない。