ホームパーティ文化

海外で生活していると、パーティーを開いたり(これを「ホスト」という)、会食に招かれたりすることが多くなる。おたがいの家に招き合って食事をしたり酒や茶を飲んだりする習慣は、どこの国にもある。相互の理解を深め信頼感を高めるためにも、パーティーはなくてはならない重要な「舞台」である。初めての人にとっては、さまざまな人との出会いの場にもなる。  ひと口にパーティーといっても目的や趣旨によって形態・規模・内容などが大きく違ってくるが、ここでは海外駐在員の家庭などで開かれている欧米スタイルのホーム・パーティーを中心に考えてみたい。

ディナー・パーティー

 いわゆる「晩餐」で、多少フォーマルな装いをして出席する。テーブルの席に座る形式と気軽な立食形式とがある。会合の趣旨や顔ぶれ、人数などによる。

カクテル・パーティー

 夕食前に行われ、アルコール類のほかにジュース類も用意される。つまみ程度の軽い食事。

アフター・ディナー・パーティー

 夕食をすませたあとに行われる。ダンス・パーティーを兼ねる場合も多い。

ランチ・パーティー

 昼食をともにするパーティー。イスラム圏では昼の祈りのあとに行われる(金曜日なら遅くなる)。 アフタヌーン・ティー・パーティー  午後にお茶と軽食の席を設ける。イスラム圏では、午後の祈りのあとになる。

ドリンク・パーティー

 食事どきをはずしたパーティー。「ディア・パーティー」と書いてあったら男性だけの集まりである。

ポット・ラック

 「ありあわせ」の意味だが、一人一品ずつ持ち寄る(男性なら酒でもよい)。「ボトル・パーティー」ともいい、ホストの負担を軽くして、気さくに語り合う。

ハイ・ティー

 もともとは「夜食」の意味で、くつろいだ雰囲気を楽しむ。お菓子とお茶ぐらいが普通。キリスト教のコンプリンはほとんどすたれたが、イスラム圏や熱心な仏教圏では初夜(宵)のお祈りのあとに行われる。  ホーム・パーティーは、家族間の交流を促し、会社の上司や先輩、同僚などと親交を深める場になる。また、夫の取引先の関係者などとは信頼関係を築く場にもなる。

準備は早めに

 パーティーの日時が決まったら、招待状は早めに出すようにしよう。会合の趣旨などを記したメッセージとともに日時、場所を書いたカードを届けるが、簡単な地図を添えておくと親切である。大事な主賓があるときは、そのことにも触れておく。  最も頭を悩ます問題の一つは招待客の人選である。パーティーを開く趣旨が基準になるが、年齢、人柄、社会的地位やキャリアなどを考慮しながら、出席者の組み合わせを考える。フォーマルになるほど夫婦かカップルで招待するのが原則だが、単身者が多い場合は男女の割合にも配慮する。また、出席者同士のなかで初めて出会う人が必ずいるようにするのが、隠れた鉄則になっている。  メニューは前日までに決めて、買い物や玄関・居間の掃除などもすませておく。下ごしらえができるものは前日までにやり、酒類も冷やしておく(氷も多めに作る)。生け花や飾りつけ、テーブルの移動なども、前日の夜までに夫婦でやってしまうのがコツである。食卓には、きれいなテーブルクロスが掛かっていれば十分で、下手な飾りはないほうがよい。食器も人数分がそろっていれば理想的だが、欠けたり変に曲がったりさえしていなければ、多少の不ぞろいは気にしないことである。  招待客のなかには宗教上の理由、あるいは健康上の理由によって食べられないものがある人がいたり、アルコールやカフェインを含むものを飲まなかったりする人もいるので、事前に確かめておくのも心配りの一つである。

会が始まったら動くのは夫

 当日、ホスト夫婦は早めに準備を整え、着替えもすませて招待客を迎える。妻は招待客の話し相手が役割になるので、飲み物などは夫が世話することになる。初めて顔を合わせる人同士は、タイミングをはかりながら順次紹介していくようにするが、年長者や女性の紹介にはとくに失礼のないように気を配ろう。  テーブルの席順は「主賓は真ん中、その向かいがホスト」「男同士、女同士が対角線的に対象になるように」「男女はできるだけ交互に」といった原則に従って決めればよい。ただし、国や地域によっては席順にたいする考え方が異なる場合が多いので、先輩や経験豊富な人に聞いて確認しよう。  ホストは出席者の話題が途切れないように、話題を提供したり話の水を向けたりして、楽しい雰囲気作りを心掛ける。バック・ミュージックに話題性のある曲を選んだり、子どもに何か演技させたりして、会の趣旨にふさわしい場を演出する工夫が喜ばれる。  日本の主婦の手作り料理は喜ばれるが、パーティーの間にホストの妻が台所に立つことはマナー違反である(夫が立つのはかまわない)。始まったらほとんど席を立たずにすむ料理ややり方を工夫しよう。また、塩辛・納豆などの発酵の匂いの強いもの、海苔やワカメなどの海草類、さらに梅干しなどは外国人には嫌がられるので、テーブルには並べないほうが賢明である。

招かれたときは

 招待状が届いたら、すみやかに出欠の返事を出そう。パーティーの趣旨や形態がわかったら、それにふさわしい服装で出かける。何か手土産を持参するが、クッキーやチョコレートが無難。お酒の好きなホストなら、ワインか日本酒でもよい。花束なら、当日の午前中までに届くように手配すると、ホストは助かる。  会場で初対面の人を紹介されたら、その人と積極的に言葉を交わすように努めよう。「壁の華」になったり、特定の人としか口をきかなかったりというのは、雰囲気をこわす行為である。  食事の最中は、同席する招待客に不快な思いをさせないよう気をつける。音を立てて食べない、食器の音を立てない、食べ物を口に含んだまま話さないなどは、最低限のマナーである。また、出席者全員のわかる言葉で話すのが原則なので、日本人同士で勝手におしゃべりするのも控えたい。  パーティーから帰ったら、すぐに礼状(サンクス・カード)を出すか、Eメールでお礼のメッセージを送るようにしよう。