トップ >  海外赴任・海外出張リロケーションガイド >  伴侶動物の医療現場から

伴侶動物の医療現場から

早い段階から準備を

伴侶動物医療の現場で獣医師として働いています。当動物病院にはたくさんの伴侶動物とそのご家族がおいでくださっていますが、最近では日本国内外を問わず、伴侶動物と共に居を移されたり、一時的に転勤をされたり、留学をされたりするご家族も増え、多くのご相談を受けます。
数年前までは日本の検疫制度も異なっていましたが、2004年6月から日本への入国の前にさまざまな手順が必要となりました。またそれぞれの国により、入国の規定が異なるため、突然の転勤などがあると伴侶動物の手続きが間に合わず、場合によっては先にご家族の何人かが転居されて、後に残ったご家族が手続きを完了されて一緒に渡航ということもないわけではありません。もしも検疫の手続きと手順を省略して渡航する場合は行った先の国での長い検疫に耐えて検疫所で暮らすことになるのです。 その期間も国により様々ですが、環境が変わったうえに検疫からすぐに出ることが出来ないとなるとやはりいろいろと不安がつきまといます。そのため多くのご家族はできる限りの検疫期間の短縮を考え、入国前の実にさまざまな手続きを事前に済ませて行かれる場合がほとんどなのです。

異なる入国必要証明

手続きに必要なものとしては様々なケースがあるため一概には言えませんが、まず、マイクロチップを入れておくこと(個体認識の意味があります)、狂犬病の予防注射を接種しておくこと、しかも狂犬病の抗体価(血液中の狂犬病への抵抗力)を測定し、ある一定の値以上に上がっていることを証明しておくこと、出発の直前に身体検査、寄生虫の駆除などをしておく必要もあります。しかも、狂犬病のワクチン接種の時期や、回数なども非常に厳しく決められている国もあるため、(日本もその一つの国です)十分な期間を持って、出入国の準備にのぞみましょう。
特にいろいろな手続きが必要な国は日本、イギリス、オーストラリア、ハワイなどの島国に多く、さまざまな検査の他にも英語の文章の提出などもありますので、渡航の可能性が出てきた際には、早め早めにしかるべき場所に相談をされ、準備を開始されることをお勧めします。

情報収集先は

まずは主治医に相談をし、その動物病院が渡航に必要な書類作成などのサポートサービスを行っているかどうかを確認し、対応していない場合は対応可能な病院を紹介してもらいましょう。
主として動物病院では健康証明書の発行及び各種医療関連証明書の発行、マイクロチップ注入、必要に応じワクチン接種、採血などを行います。また、動物検疫所などに連絡をとり情報収集を行ったり、できるだけ早くインターネットなどで相手国の動物検疫の実情を調べて把握しておくことが必要です。日本国内の各国大使館に相談・連絡しても良いのですが、多くの場合はインターネットで情報を得るか、その国の農林水産省に該当する機関に聞くように言われることが多いのです。また、海外赴任サポートを行う業者よりサポートを受けることも情報収集の1つの方法でしょう。

伴侶動物

いまや、動物たちは「ペット」(愛玩動物)ではなく、家族の一員である「伴侶動物」。家族と共にその一生を過ごす大切な存在です。少ない家族の間の絆になったり、独り暮らしの方の大切なファミリーだったり、お子さんの大切な兄弟姉妹の役割をしている場合も大変多く、特に現代社会の中での潤滑油的、また私たち人間が優しさを忘れないために大きな役割を担っている存在です。海外への渡航も、常に一緒に……という傾向が一般的になっています。それだけに土壇場で困らない情報収集が非常に重要です。 最近の日本への入国の手続きは一見難しくなったように見えますが、実は事前の手続きを行いさえすればむしろ帰国時の検疫の時間は非常に短く、伴侶動物との海外への旅の可能性も広がっているのです。(海外への旅〈移住〉がストレスにならない性格と健康を持ち合わせている必要があります)
様々な局面で大切な伴侶動物と共に楽しく、健やかにあるために、普段からのウェルネスプログラムにのっとった(良い状態を病気になる前に保つ努力をする生涯健康維持プログラム)健康診断の励行、いざ旅立つ必要がある時に共に暮らせるよう、万全の体制で日々の暮らしを考えてあげてください。
私たちも日々、そのお手伝いをさせて頂いています。今もっとも求められている「伴侶動物に優しい医療」は人類の環境と生活にも優しく、地球に優しい生活とは何か?を考える糸口を私達に提示してくれていると感じています。

<情報提供> 赤坂動物病院 副院長 柴内晶子
90年日本大学獣医学部獣医学科卒(現・生物資源科学部)。その後日本獣医畜産大学研修生を経て赤坂動物病院副院長として伴侶動物医療現場での診療のほか、しつけアドバイスを担当している。日本臨床獣医学フォーラム幹事および2006年フォーラム年次大会実行委員長。
JAHA(社団法人日本動物病院福祉協会)内科認定医。
当院は1963年5月の開院以来、40年以上の長きにわたり、家族の一員、伴侶動物(コンパニオンアニマル)のための良質の医療を提供。伴侶動物と人が共に幸せになる「人と動物の絆」の理念に基づいて,伴侶動物医療を通して社会に貢献している。また社団法人日本動物病院福祉協会のC.A.P.Pプログラム(人と動物のふれあい運動)推進病院である。
http://www.akasaka-ah.com/
http://www.jbvp.org/