海外赴任リロケーションガイド赴任の準備方法や手順など、生活の基盤となる情報をご紹介

公的機関への手続き

旅券(パスポート)の取得

旅券(パスポート)は、日本人であることを証明する政府の公文書(身分証明書)で、海外へ渡航する場合は必ず所持していなければならない。パスポートの有効期限は 10 年用と 5 年用があり、20 歳未満はすべて 5 年用。入国の際に「旅券の有効期間が 6 か月以上残っていること」」などを条件としている国があるので、すでに旅券を所持している人は有効期限を確かめておきたい。

新規申請に必要な書類

1一般旅券発給申請書 1 通

2戸籍謄(抄)本 1 通

本籍地の市町村の役場で発行。6 か月以内に発行のものに限る。

3住民票

住民登録してある市町村で発行。6 か月以内に発行され、本籍地が記載されているもの。住民基本台帳ネットワークシステムで確認できる場合は原則不要。

4申請者の身元確認の書類

マイナンバーカード、運転免許証、船員手帳など、有効な書類の原本。

5写真

縦 4.5× 横 3.5 cm で、正面向き、無帽。申請日前6か月以内に撮影したもの。

6前回の旅券(パスポート)

有効期限のある旅券(パスポート)は必須。有効期限が切れている場合でも持参する。

パスポート申請時の注意点

  • 未成年者の場合は、親権者または法定代理人の署名と捺印が必要である。

  • 有効期間が 1 年未満になったため切り替えを申請する場合は、取得済みの旅券がないと受け付けてもらえない。

  • 申請から受領までは通常 1 週間程度かかる。(土・日・祝日を除く)

  • 受領の際は、申請のときに渡された受理票(受領証)と手数料(必要額の収入証紙及び収入印紙を受領証に貼付)を持参する。

  • 旅券を受領したら、必ず旅券の番号、発行年月日をメモしておこう。

※有効期間が1年以上ある場合でも切り替えが可能なこともある。パスポートセンターに要相談。
※令和 5 年 3 月 27 日より、オンライン申請がはじまりました。

赴任先で生まれた子供の旅券

赴任中に子供が生まれたら、何はさておき旅券(日本か赴任国の旅券)を取得すべきで、とくに政情不安な国の場合は必須条件である。申請の方法は国によって異なるので、現地の大使館や領事館で必要な書類などを調べておこう。

国外転出届の提出

海外に 1 年以上滞在する場合は,現在住んでいる市区町村役場に「国外転出届(住民異動届)」を提出しなければならない。受付は,原則として出発の 2週間前からとされている。届けが受理されると、住民台帳から名前が削除され、4 か月経過後に選挙人名簿からも抹消される。
2018 年 6 月 1 日から国外転出時に在外選挙人名簿に登録申請できる「出国時申請制度」が始まりました。

転出予定日を過ぎると...

記入した転出予定日を過ぎると非居住者扱いとなり、印鑑証明や住民票などが受けられなくなるので自動車の処分などの手続きがある場合は注意しよう。

納 税

① 所得税

海外勤務で得た給与所得には、日本の所得税は課税されないが、給与以外に不動産の貸付や資産の譲渡など日本国内で所得がある場合は、赴任前の住居のある地域の税務署に、確定申告をして税金を納めなければならない。
収入が勤務先からの給与だけの場合は、基本的に勤務先で処理してもらえる。出発前に所得の申告が間に合わない場合や赴任後の確定申告などは、「納税管理人」を選定して納税を代行してもらうことになる。納税管理人を選定する場合は、所轄の税務署に届け出なければならない。納税管理人を選定しないで海外に出発する場合は、出国の日までに、居住期間中だけを対象にした確定申告をしなければならない。

② 住民税

住民税は通常、勤務先を通して給料から天引きされる。前年の所得に応じて本人の居住地の地方公共団体に納めるが、年の途中で海外転勤になった場合も、その年の住民税(赴任の翌年 5 月末ごろ請求がくる)は納めなければならない。勤務先に依頼して、国内給与からの天引きにするか一括払いにするか、あるいは納税管理人に納税を代行してもらおう。

③ 固定資産税・都市計画税など

海外勤務になっても、日本国内に土地や家屋などの固定資産がある場合は、固定資産税などの支払い義務が生じてくる。納税の方法は、銀行の自動引き落としにするか、納税管理人に支払いを代行してもらうかのいずれかを選択する。

年金の継続手続き

国民年金や厚生年金、共済年金などは、海外勤務になっても引き続き継続することができる。配偶者も国内と同じ扱いだが、厚生年金が適用されない現地法人などに勤める場合は、新たに国民年金に加入する必要がある。将来、加入年数が問題となるので注意しよう。
国民年金への申し込みは、各市区町村役場で受け付けている。申し込み用紙は、赴任先の在外公館(日本大使館など)にも備え付けてある。サラリーマンの妻の場合は、夫の勤務先が手続きを行うこともあるので、勤務先の海外人事担当に問い合わせてみるとよい。
保険料は、各市区町村役場の口座に振り込むか、加入者名義の日本の銀行口座に送金(そこから自動振替)する。

ビザの申請

入国・滞在の許可を示すビザ(査証)は、その国の大使館および領事館が本国の規定にもとづいて発給するもので、ご本人の勤務先の担当者や専門業者と取得手続を進めていく。海外勤務に必要な就労査証(ワーキングビザ)の取得は年々厳しくなっているので、家族用とあわせて早めに申請し、取得したい。(ただし、妻や子供は働けない国が多い)コロナ禍においては更に厳しくなっているので、より早めに手続をすすめましょう。 

Point

ビザの申請には、赴任先の国情などによっても異なるが、一般的に査証申請書、パスポート、写真(1 〜3 枚)、勤務先の推薦状、申請者の英文経歴書、戸籍抄本(または謄本)などが必要になる。犯罪経歴証明書や健康診断書などを求める国もあるので、事前に旅行代理店などに問い合わせておくとよい。
ビザは種類によって入国回数の制限が異なり、就労用のビザの場合、1回のみ入国可能なビザも多い。もし就労用ビザを取得後に出張等でその国に入国してしまうと、就労用のビザが使用されてしまうため、出張中に所定手続き(居留許可・滞在許可・就労許可等)を行う、あるいは出張等を全て終えてからビザを取得するなど、ビザ取得までのスケジュールを把握しておこう。