暮らしに関する手続き
公共料金の解約・精算
海外へ出発する直前には電気・ガス・水道なども精算しておかなければならない。いずれも、ストップする 1 週間前から 2 〜 3 日前までに連絡しておけば、当日精算にきてくれる。電力会社やガス会社、水道局の連絡先、お客様番号などは、領収書に記載されている。インターネットでの手続きも可能だ。
携帯電話の手続き
携帯電話を長期間使用しなくなる場合は、利用休止の手続きをとることが可能である。利用休止の手続きをしておくと、その期間中は基本料金がかからない。
休止期間は、au・ソフトバンクが 5 年間、NTT ドコモは 3 年間。番号を保管するか解除するかにより費用が異なる。
プロバイダについて
契約中のプロバイダはなるべく変えないようにし、赴任先からも e メールが使える状態にしておくと便利である。CATV など国内にしかアクセスポイントがないプロバイダの場合は、解約するしかない。経過措置として Yahoo や Googleのメールアドレス(無料)を取得しておくとよい。
郵便物の転送届
海外赴任後の日本の連絡先が決まったら、早めにお近くの郵便局に転居届を出しておきたい。1 年間は、旧住所に送られた郵便物を依頼した先へ転送してくれる。ただし、海外の赴任先への転送は行っていないので、事前に実家や友人に頼む必要がある。
挨拶状
赴任後に、挨拶状や年賀状などを出すときに困らないように、親戚や友人・知人などの住所録を作っておくと便利。
自家用車の処分
現在、日本国内で乗っている自家用車を親戚や知人に預けて管理してもらう場合はそれほど問題ないが、売却する場合は、専門の業者であれ知り合いであれ、あとでトラブルが起きないようにきちんと手続きを踏んでおきたい。自動車保険の解約(強制、任意とも)も忘れずに手続きを済ませておくようにしよう。
また、売却後に必ず車検証の名義も書き換えておくこと。
いざ売却の段になって問題になるのは、車の値段である。査定価格は一般的に年式や車種で変わってくるが、そのときの車の走行距離や事故・修理歴、ボディーに傷があるかないかなど外観の「程度」などによっても大きく異なってくる。交渉の場に、車に詳しい友人などに同席してもらうのも一つの方法である。売却の際に必要な書類は、下記7点である。
売却の際の必要書類
1実印
2印鑑登録証明書 1 通
3自動車納税証明書(当年度分)
4自動車検査証
5自賠責保険証明書
6実印を捺印した委任状(指定用紙)
6実印を捺印した譲渡証明書(指定用紙)
自動車保険の証明書
① 中断証明書
海外赴任のために自家用車などを一時的に手放す場合は、任意の自動車保険を解約することになるが、帰国後に再契約する際、自動車保険の中断証明書があれば、「海外特則」にもとづいて中断前と同じ等級の無事故割引が適用される。
必ず中断証明書を発行してもらうようにしよう。中断証明書の申請は、保険会社所定の中断証明書発行依頼書に必要事項を記入し、保険証券の写しを添えて行う。
中断証明書は中断前の契約の満期日または解約日から 13 か月以内に申し出があった場合に発行され、中断前の契約の満期日または解約日の前には発行されない。
中断証明書は、帰国後の再契約の際の海外特則を適用する場合に必要になるが、条件がついているので、詳しくは、保険会社に問い合わせる。
② 無事故証明書
過去 3 年間に個人名義の自動車保険契約があり、事故による求償を受けていない場合は、解約・中断の際に、保険会社から「無事故証明」を和文と英文で発行してもらっておくとよい。英文のものは、赴任先で自動車保険に加入の際に提出すると保険料(掛け金)を割引いてもらえるのが普通だ。
③ 生命保険の確認
すでに加入している生命保険は、「海外渡航通知書」を保険会社に提出しておけば、海外赴任中もカバーされる。ただし、渡航中は契約内容や保険料の支払い方法等の変更・追加は難しい。
失業保険の手続き
夫の海外赴任により妻が現在の勤め先を退職して任地に赴く場合、妻の失業保険の取り扱いはどうなるのだろう。
雇用保険制度の代表的な給付である基本手当が受給できる期間は、原則として離職の翌日から 1 年以内である。ただし、病気などを理由として受給する時期を最大で 3 年間延長できる特例がある。事業主の命により海外赴任する配偶者に同行する場合も受給期間延長の理由の一つとなる。つまり、出国の日から帰国の日まで最長 3 年間の延長が認められるのだ。
基本手当(失業保険)は通常、離職日の翌日以降 1 年以内に受給しなくてはならない。(これを受給期間という)
手続きは居住地を管轄する公共職業安定所に、出国日から 1 か月以内に出国確認のための、下記書類を添付して申請する。
①パスポートのコピー
②海外赴任の辞令(配偶者の勤務先発行)
③婚姻関係が証明できる書類(住民票、戸籍謄本など)
ただし、出国後の手続きは現実的に困難なため、パスポートの写し以外の書類を事前に提出し、あとからパスポートの写しを郵送することも可能である。また、代理人による申請も可能なので、親戚などに手続きを依頼する方法もある。
公共職業安定所での手続きが完了すると通知書が郵送され、帰国の際にその通知書を、居住地を管轄する公共職業安定所に提出する。しかし、通知書は海外へは郵送してもらえないため、国内の親戚や知人などに送付してもらうように依頼するとよい。
帰国後は、延長期間ではなくなるためただちに手続きを行う必要がある。また、基本手当(失業保険)の給付は「職につく意思があり、求職活動をしている者」が対象となるので、帰国後に職につかず専業主婦となるような場合には、給付を受けることはできない。