海外赴任前健康診断の受診
労働安全衛生法にて、労働者を海外に6 カ月以上派遣する事業者に対して、派遣前後の健康診断を受けさせる事が義務づけられています。受診結果によって、海外赴任が中止となる場合もあります。しかし、会社で行っている年一回の定期健康診断が直近であれば、それを赴任前健診として兼ねる事を認めている場合もあるので、会社にご確認下さい。
また、会社ごとに健康診断の受診項目数が定められているため、ご自身の会社が指定する受診項目をカバーできる医療機関での受診が必要となります。基本的に指定項目についての受診費用は会社負担ですので会社の規程をご確認下さい。また、家族の受診にあたっては、婦人科健診の対応、お子様の対応の可否の確認も必要です。
地方の医療機関で受診される場合には、緊急事態宣言下では受診前 2 週間以上、その県下に滞在していることを条件としている医療機関もあるのでご注意下さい。
医療機関の混雑状況により、希望日に予約が取れないという事もめずらしくありません。その場合は、希望通りの病院でなくても早めに受診して早めに結果を受け取る事を最優先にしましょう。
又、赴任用の健康診断の他に就労ビザ取得要件として、各国が定めた健康診断の結果を必要とする場合があります。その場合は、所定のフォーマットや指定病院での受診など、受けられる病院も限られますので注意しましょう。(中国、ベトナム、ロシア、スペイン、マレーシア、シンガポール、台湾、チリ、南アフリカ、フィリピン、etc)
更に、感染症対策のために派遣エリアごとに異なる複数のワクチン接種(黄熱、A 型肝炎、B 型肝炎、ポリオ、狂犬病、日本脳炎、骨髄膜炎)を受けておくことが厚生労働省により推奨されています。こちらも基本的に接種費用は会社負担の範囲が会社の規定で定められています。
また、医療機関にワクチンの在庫が常にあるわけではないので、事前にワクチンの在庫があるかどうかの確認が必要となります。
現在、流行しているコロナウイルスのワクチンと同様に、一回の接種で抗体はできず、2 回、3 回と接種が必要で、接種間隔や1回目のワクチンの種類との互換性の一致も必要です。
初回接種の医療機関と 2 回目以降の接種の医療機関が異なる場合は、一回目のワクチン接種証明の提出が求められますので接種記録は保管しておきましょう。また、コロナウイルスワクチンを接種した場合には、一定期間、海外渡航用のワクチンが受けられなくなるので、スケジューリングには注意が必要です。