海外赴任リロケーションガイド赴任の準備方法や手順など、生活の基盤となる情報をご紹介

予防接種

予防接種情報

海外に長期滞在する場合に忘れてはならないのが予防接種だ。ワクチン接種を受ける前に、インターネット等であらかじめ調べておく事は大切だ。
渡航する地域で注意すべき感染症にはどの様なものがあり、どのワクチン接種が推奨されるかについては、ネットからある程度の情報は得られる。
しかし、渡航者の年齢・基礎疾患・活動内容・滞在期間などで、優先されるワクチンは異なり、個人個人に合わせた接種プランが必要となる。
また、ネットの情報では刻々と変化する渡航地域の信頼できる状況を得る事は困難であろう。最終的な予防接種計画については、専門医師との相談において決定することが大切である。

予防接種の問題点

海外赴任が決まり、実際に渡航するまでの期間は 3 か月以内のことが多く、実際、必要な予防接種を完了できずに渡航せざるをえない場合がある。
例えば、渡航ワクチンとしてしばしば接種される B 型肝炎ワクチンの接種を完了するためには 6 か月から 1 年を要するため、その期間に一時帰国予定がない場合には渡航先において追加接種が必要となる。渡航が決まったら、少なくとも 1 か月以上前に医療機関に相談することをお勧めする。また、A 型肝炎ワクチンの様に、日本製と海外で接種スケジュールが異なるタイプのワクチンも存在する。
この様な問題に対しては、専門の医師が渡航先でも追加接種する事を想定し、同じ海外製のワクチンを選択する方法もある。渡航先での接種タイミングや、ワクチン接種ができる医療機関の紹介を受けることが必要となる。
そのためにも、日本で接種した記録は、専門医療機関で国際的に通用するフォーム で 書 か れ た (International CertificateofVaccination or Prophylaxis (ICVP) の発行を受け、海外でワクチン接種を受ける際に提示することが大切である。

子供の予防接種

幼児の定期予防接種については、国ごとに接種タイミングや接種内容が異なることが多い。渡航先で定期予防接種を続ける際には、その国のスケジュールに従うことになるため、赴任地の医師にできる限り詳細な経過説明をし、予防接種実施計画を見直す必要がある。
そのためには、母子手帳の予防接種欄の英文翻訳したものを持参する事をお勧めする。なお、結核ワクチンとしての BCG 接種は、日本では定期接種として行われるが、北米では実施されていない。現地で、ツベルクリン反応 (Mantouxskin test) を受けた際には BCG を受けた日本人と北米人とは反応が異なる事から、結核にり患していると疑われる場合があるので注意が必要だ。

○日本での状況

海外赴任前の予防接種の留意点

① 予防接種の豆知識

海外渡航などに接種する予防接種ワクチンは、1回だけでの接種では完了しないので知っておこう。しっかりとした抗体を得るためには、一定の接種間隔をあけて、2 回から 3 回のワクチン接種が必要となる。また、ワクチンによっては、国産ワクチンと輸入ワクチンがあり接種間隔も異なるので注意が必要だ。渡航先ごとの推奨ワクチンの種類を次ページにとりまとめたが、厚生労働省検疫所の基準をガイドラインとした一般的な基準である。
最終的に、接種ワクチンの種類や接種スケ―ジュールを組む際は、接種する病院や医師のアドバイスを参考に接種することをお勧めする。
但し、費用については勤務先の負担となるか、個人の自己負担となるか事前に勤務先に確認しておこう。
また、1 日に複数本のワクチンを接種している病院と 1 日に 1 本ずつの接種を推奨している病院とがあり、病院や医師の方針により異なる。

② 予防接種ワクチンの選定

各国ごとに厚生労働省検疫所から推奨されているワクチンがあることは、前述したが、この全てのワクチンを絶対に接種しなければならないというわけではない。昨年からこの一覧に麻疹が追加されて二重丸がつけられているが、実際には単体ワクチンの在庫もなく、2 種、3 種混合ワクチンを接種して渡航している。

③ 予防接種の継続接種

ワクチンの種類によっては半年ほど間隔を空けるので赴任前に全ての予防接種を完了することは難しい。
3 回目の接種は、一時帰国のタイミングに日本で接種するか、現地医療機関で接種する必要が出てくる。医師に渡された接種計画通りに接種しないと抗体が付く効果が薄れる場合もあるので注意したい。
海外での医療機関の選定については、現地スタッフからの情報や下記のホームページを参考にするとよいだろう。
海外での医療機関の選定については、現地スタッフからの情報や下記のホームページを参考にするとよいだろう。
■外務省 在外公館医務官情報 世界の医療事情
https://www.mofa.go.jp/mafaj/toko/medi

■海外渡航で検討する予防接種の種類の目安

下の表はあくまで目安です。このほか、国内で承認されていないワクチンもあります。渡航外来等で接種医とよく相談して受けてください。

●:黄熱に感染するリスクがある地域に渡航する場合は予防接種が必要。
▲:北アフリカのうちスーダン南部に渡航する場合は予防接種が必要。
◎:渡航前の予防接種をお勧めしています。
〇:局地的な発生があるなど、リスクがある場合には接種を検討してください。
△:ワクチンの供給が限られているので、入手可能であれば、接種を検討してください。
※:麻しん、風しん、水痘、インフルエンザ、破傷風は渡航先にかかわらず、必要な方
 には予防接種をお勧めしています。
■厚生労働省検疫所 F O RTH https://www.forth.go.jp/

■海外赴任時に主に接種されるワクチン

(接種を推奨するワクチンは渡航先により異なります)

※1. 接種回数は生まれ年により異なります。1969 年以降にお生まれの方は基本的には 1 回接種。
海外の学校入学に必要なワクチンの接種間隔は、1 か月となります。接種開始前に必ず医師とご相談下さい。
※2. 3 回目を接種して 1 年後に追加接種をすると 5 年間有効期限となります。
※3. 接種歴によって異なります。
※4. 麻疹:過去の接種歴によって接種回数が異なります。

日比谷クリニック 院長 奥田 丈二