医薬品の持ち込み
日本から持っていく医薬品
医薬品の認可に関しては、多くの国で米国 FDA(米食品医薬品局)の基準に準拠しているが、日本は諸外国と事情を異にする。
したがって一般家庭に常備されているような大衆薬に関しても、その有効成分などに大きな違いがあると思っていたほうがよい。海外で販売されている市販薬の場合、その効果が強すぎて日本人には向かない場合もあることを前提に、ある程度日本から常備薬を持参しておくことも考慮したい。
処方される医薬品
見慣れない医薬品を使用するのには抵抗もあるだろうが、現地の日本人の知人等に聞いて、日本人が実際に使っている医薬品を試してみるのが一番だ。
また日頃病院などで処方してもらい常用している医薬品については、同じ有効成分でも商品名は異なることが多いので、その成分を確認して同じものを現地の医師に処方してもらいたい。医薬品の商品名は錠剤やカプセルなどに小さく表示されていることが多いが、よくわからない場合は、その成分も含めて英語表記をあらかじめ処方した医師に確認しておき、任地の医師に相談した上で同じものを処方してもらうとよいだろう。この場合、まったく同じものが処方されることは希で、大概は同様の効果を持つほかの医薬品を本人の症状に合わせて処方してもらうことになる。
高血圧に限らず慢性疾患の治療で投薬を受けている場合は、現地で医師による診察を受けたうえでなるべく同じ効果を持った医薬品を処方してもらうようにする。たとえ医薬品の名前が違っても中身はまったく同じ場合もあるので、最初から同じものはないと決め付けたりせずにぜひ現地の医師に確認を求めて欲しい。同様のものが入手できない場合でも、同じような効果を示す医薬品は見つかるはずだ。海外の薬を嫌ったり、医療機関を受診したりするのが面倒だという理由で、日本から降圧剤を取り寄せて服用していたものの、実際には知らないうちに症状が悪化し、まったく血圧がコントロールされていなかったという事例もある。
医師による経過観察を受けないで、日本から送られてくる薬を漫然と服用することは危険でもある。また何らかの副作用を感じたときに、海外の薬は強すぎる、あるいは自分に合わないと判断して勝手に止めてしまったり、服用量を自己判断で少なくしたりするなどしても医師に報告しないことも多いようだ。現地で処方してもらった薬が強すぎたり、服用によって何らかの副作用が出たりした場合は、必ず主治医に報告してほしい。いつ、どれだけ飲んだら、どのくらい時間経過して、そしてどのような症状が出たのかをできる限り詳細に報告するべきである。