海外赴任リロケーションガイド赴任の準備方法や手順など、生活の基盤となる情報をご紹介

家の税金

家を貸した場合の税金

サラリーマンでも家賃収入などを得た場合は、不動産所得として確定申告が必要となる。不動産所得は総収入−経費=不動産所得となる。不動産所得はほかの給与所得などと合算して総合課税される。経費として認められる主な項目については右表に掲げた。具体的には、総収入(家賃・礼金など)から右表の経費を引いた額(不動産所得)から、さらに基礎控除 38 万円を引いた額に課税される。この課税対象となる所得が 195 万円以下ならば、税率は 5%である。
海外赴任者の場合は非居住者の扱いとなるので、少し事情が変わる。通常、海外赴任者が国内で不動産所得などが発生する場合には、納税管理人を立てて代わりに確定申告をしてもらう必要がある。
また、借主が法人の場合に限っては賃料収入から毎月源泉徴収される。この源泉徴収の納税義務は借り主である法人に課せられており、その税率は 20.42%である。赴任期間中に所属企業に持ち家を借り上げてもらうようなケースもこれに該当する。源泉徴収額が実際の税額より超過している場合は、確定申告で還付請求することができる。この還付請求権は 5 年以上経過すると時効により消滅する。したがって、海外赴任者は所得税の納税管理人を親族などに依頼して毎年、税額の過不足を調整するか、帰任後に 5 年分をまとめて還付申告するか二通りの方法がある。
詳しくは、もよりの税務署に問い合わせるか、国税庁のホームページなどを参考にするとよい。

固定資産税・都市計画税

国内代理人となる納税管理人を選任し、自宅の所在地を管轄する市区村町又は都(市)税事務所へ届出をする必要がある。届出以降は、固定資産税の納税管理人へ納付書などの書類が送付されるようになる。
納付は、固定資産税の納税管理人に代わりに納めてもらう方法と銀行の自動振替サービスを利用する方法がある。

住宅ローン関係の手続き

海外赴任が決まったら住宅ローン関係の手続きも忘れてはならない。借入先が住宅金融支援機構の場合は、「住所変更届」を提出する必要がある。書類は融資の窓口となっている銀行から取り寄せて必要事項を記入したうえで提出する。
また、借入先が民間の金融機関でも、住所の変更届などの所定の手続きを行う。その際に融資残高の証明書などの書類を海外まで送付してもらえるかどうか確認しておく必要がある。
さらに、海外赴任中も住宅ローンの支払いが滞らないよう引き落とし口座に毎月一定の資金があるように手続きをしておく。たとえば、所属企業に、毎月の給与の一部やボーナスを引き落とし口座に振り込んでもらうように依頼する。自宅を貸し出す場合は、その賃料を引き落とし口座に振り込むように不動産会社などに依頼をしておく。
海外赴任を機に住宅ローンの借り換えの検討をしてみるのもよいだろう。低金利時代であることと、住宅ローン商品の多様化により、借り換えることによって大きな効果を得られるケースが増えている。
住宅ローンには大きく分けて、固定金利と変動金利および一定期間固定金利の3 種類がある。このなかで、借り換えのメリットが得られるケースが多いのは、高金利時代に借りた固定金利である。
一般的に、次の三つの条件を満たしていれば、たいていのケースで借り換えのメリットが出るといわれている。また、借り換えによりボーナス返済をなくすなど、返済スケジュールを見直せるのもメリットといえる。
①借り換え後の金利差が 1 %以上である
②返済期間の残りが 10 年以上である
③ローン残高が 1,000 万円以上ある
最近では、住宅ローン商品の多様化により各社が特色のある住宅ローンを提供するようになった。キャンペーン金利の適用や借り入れに対する保証料が無料など住宅ローンも選択する時代となった。

住宅ローンの控除について

住宅借入金等特別控除は、その対象となる住居に居住していることが条件となっている為、海外赴任者は受けることができない。
ただし、単身赴任で家族が引き続きローン対象の住居に住んでいる場合には適用の対象となる。この場合でも、本人の赴任中は非居住者の扱いで、国内では所得税が課税されていないので実質の還付金はない。本人が帰任後に、再び国内給与に所得税が課税されるようになってから、控除され還付金が発生する。
また、転勤などやむを得ない事情で対象となる住居に家族も含め居住しなくなった場合でも、再び帰任などにより対象となる住居への居住を開始した場合には再度、適用申請ができる。この場合、転勤前に「転任の命令等により居住しないこととなる旨の届出書」を提出する必要があるので、忘れずに手続きをしておこう。
住宅借入金等特別控除を受けるための手続きは、最初にこの特別控除を受ける年の分は確定申告を行い、翌年以降は年末調整により控除を受けることができる。
ただし、この特別控除はその年の 12月 31 日の時点で対象の住居に住んでいることが条件となるため、たとえば 11月に家族とも海外へ赴任したような場合には、その年の控除は受けられない。