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パソコン・インターネット

海外で日本語のパソコンを使う

海外生活にも必要不可欠となったパソコンとインターネット。国内外を問わず、連絡や情報のやりとりが瞬時にできるこの仕組みができてから、グローバル化を急速に推し進めるツールとして、もはや人びとの生活必需品となっている。
使い慣れた日本語環境のパソコンを1台はもっていきたい。現地のパソコンに日本語OSをインストールしても、上手く作動しないこともある。ここでは現地で日本のパソコンを立ち上げるまでのポイントを紹介しよう。

持っていく際の注意点

出発前に新しいパソコンを購入していく場合、新機種を安く手に入れることができる、出発までにあらかじめパソコンに慣れておけるといったメリットがある。ただし、持ち込むための手間がかかることは否めない。現地で故障した際、修理のために日本に返送しなければならない場合もある。搭載されているモデムが現地での使用認可を取得していなかったり、電源や工業規格に対応していないモデルだったりすることもあるので、モデルの選択は慎重にしなければならない。
すでに使用しているパソコンや新しく購入したパソコンを現地に運ぶ際には、機内持ち込みで持参することをすすめたい。専用のソフトキャリングバッグなどに入れ、明らかにパソコンであることがわかるほうが、セキュリティチェックなどで慎重に扱ってくれる。荷物チェックのためのX線で、CPUなどが故障するなどということはない。
しかし逆に、それがパソコンであると誰の目にも明らかな場合は、盗難などの被害に遭う可能性も高くなる。ノートパソコンの盗難により思わぬトラブルに巻き込まれないように、日ごろパスワードを「記憶させる」に設定している人は、パスワードを消去しておくことをすすめたい。

税関をどうやって通るか

いまや海外に在住していても、パソコンメーカーや秋葉原のパソコンショップなどのホームページで商品情報はいくらでも入手できる。また、現地の日系書店では、日本のパソコン雑誌も入手可能だ。加えて、海外にいて日本からパソコンを購入(輸入)すれば、日本の消費税を支払う必要はない。
日本の消費税は8%。30万円のノートパソコンを日本で買えば24,000円も消費税がかかるが、消費税のない国、たとえば香港で同じものを日本から取り寄せた場合、この24,000円は支払わなくてもいい。ただし、国によっては「付加価値税(VAT)」という日本の消費税に相当する税金がある。
専門業者から購入すれば、手数料がかかるが日本の消費税を払う必要はなくなる。また、宅配運賃も割引が適用されるので、結果的には親戚や知人に依頼する場合とあまり費用は変わらない。そして、商品の輸送中の故障は業者に処理してもらえる。
パソコンは高価な買い物である。業者に依頼する場合は、信頼できる業者を選択することがもっとも重要だ(むしろ、パソコンのモデルを選択するよりも重要)。代金の半分、または全額を品物が届いたことを確認してから送金するなどのシステムを採用している業者であれば安心である。

専門業者から取り寄せる

赴任国に着くと、税関で所持品のチェックを受ける。パソコンに限らず、個人使用が目的で購入後6か月以上たち、転売が目的でなければ、ほとんどの国で一般の電気製品は無税での持ち込みが認められている。しかし、必ずしもこちらの言い分を信頼して認めてくれるとは限らない。パソコンなど高価な電子機器の持ち込みには、場合によっては関税の支払いを要求されることもある。また課税された場合の額などは、それぞれの状況によっても変わってくる。
ここで気をつけなければならないのは、「電気製品の無税持ち込みを認められるのは、購入後6か月以上たった製品」という点だ。海外赴任の、あるいは留学のために日本を出発する直前に新規にパソコンを購入した場合、残念ながらこの条件をクリアできないことになり、ほとんどの国で基本的に課税対象となる。
中近東や中南米といった国々では、価格の60%、場合によっては100%の課税率という国もある。正直なところ、そのようなお金はできるだけ払いたくないので、パソコンを隠して持ち込むという方法も考えられる。しかし、パソコンは比較的大きなものだから、ほかの荷物の中に隠して持っていくというのは現実的ではない。多くの人は、購入時に梱包されていたダンボール箱や保証書などはすべて別送品で送り、本体だけを手荷物にして「いかにも以前から使っていたもの」と装って税関を通るという手を使っている。これは必ずしも全員が「課税なし」になるとは限らないが、成功率はかなり高いようだ。

家族に送付を依頼する

留守宅家族や友人などに依頼して国際宅急便で送付してもらう場合は、業者に依頼するとかかる発送手数料などは不要だが、送付されてきた商品が不良であったときの処置に困るし、宅配運賃の割引がないなどの欠点がある。しかも、パソコンは非常にデリケートな電子機器なので、振動や物理的な衝撃などが故障の原因となる。送付の際に機器が破壊しないよう、パソコンの梱包にはそれなりのノウハウも必要だ。
また、親戚や知人がパソコンを購入する際に、日本の消費税を支払うだけでなく、現地通関の際には現地での関税がかかる場合もある。さらに、関税以前の問題として、現地までの運送料がある。国際宅配便の送料の計算は、重量だけでなく容積を考慮して計算される。たとえば、ノートパソコンの重量はマニュアルなどを含めて5kg前後だが、梱包後の容積が大きいので、送料は容積をもとに計算され8kg前後とみなされる。これをイギリスに送る場合は、代表的な国際宅配便で3万7000円、運送保険料は申告価格により異なるが4000円くらいである。したがって、ノートパソコンを個人で送付する際、国際宅配便の割引がなければ4万円くらいの輸送費用がかかることになる。

海外で利用する場合のモデム

ほとんどの国では「電話回線に接続する機器は、国で認可している機器に限る」と定められている。これは日本も同様で、NTTの認可を取っていない機器は、日本の電話回線と接続することはできない。したがって、持参するパソコンは、その国で使用認可を取得しているモデムが搭載されている必要がある。または使用認可を取得しているTDKの国際モデムカードなどを購入する。全世界の電話回線との接続認可を取得しているわけではないが、世界の主要国はほとんどカバーされている。価格は、海外の電話回線との接続認可を取得していないモデムに比べて高くなるが、これはやむを得ない。
最終的には、どのようなリスクに対処するかを考慮し判断するしかないが、いずれにせよ解決策は次の四通りである。

  • 1

    現地の認可モデムが内臓・添付されているパソコンを用意する

    これが、もっともリスクが少ない方法で、自分の希望するモデルがあれば解決である。東芝、IBMのほとんどのモデルが該当する。富士通などほかのメーカーのパソコンも該当するモデルが増えている。

  • 2

    TDKの海外認可モデムを購入する

    この方法も現実的である。しかし、ほとんどのパソコンにモデムは標準で添付されていて「モデムはいらない」といっても店は値引きしてくれないから、余分な出費になる。またパソコンが新モデルの場合は、TDKのモデムが動作確認をとれておらず、パソコンを電話回線に接続することができない場合がある。このパソコン本体とモデムとの相性のリスクは、ユーザーが負うこととなる。いずれにしてもこの方法は、赴任国の認可モデムをTDKが発売していることが前提である。

  • 3

    現地でモデムを購入する

    現地でその国の製品を購入するわけだから、当然現地の認可を取得している。また、当然現地の電話回線との相性も問題ないはずだ。
    リスクは、このモデムとパソコン本体との相性で、「現地で購入したモデムが使えない」という話をよく聞く。比較的リスクが少ないということであれば、IBM、東芝、COMPAQ、シャープなどの、マルチナショナル仕様のパソコンをすすめたい。これらのモデルであれば、モデムが使えないという事例は少ないようだ。

  • 4

    添付されているモデムを使用する

    この方法は、添付品のモデムを使うわけだから、本体との相性はまったく心配ない。ただし、現地の電話回線との相性のリスク、接続を認可されていないモデムを使用する不安がある。しかし、現実的にはこの方法がもっとも多いようだ。これらのモデムと現地の電話回線の相性が悪く、接続がうまくいかなかったという話はあまり聞かないが、現地で罰金をとられるケースもあるので、法律的に問題があることは知っておく必要がある。

インターネットの上手な利用法

インターネットは大量の情報のなかから必要とする情報を選べることから、利用者の意識はより快適でリーズナブルなサービスを求めるほうに向いている。ここでは、海外でパソコンを快適に使うためのポイントと、インターネットを賢く使うための基本的なノウハウを確認しておこう。

プロバイダの選択

インターネットを利用するにはプロバイダ契約は欠かせない。海外でのプロバイダ契約については、出発前に日本国内で契約していく方法と、現地のプロバイダと契約する方法の、大きく分けて二つの選択肢がある。日本で契約する場合、海外でのインターネット接続料や滞在先の国・地域でのサービスの有無、市内通話料金で利用できるアクセスポイントの有無などをチェックする必要がある。
一方、海外での契約の場合には国内で契約するより利用料金が安いことが多い。ただし、言葉の問題などで登録や設定に手間取ったり、サポートを受けるときに時間がかかったりする可能性がある。
また、プロバイダのサービスにも各種ある。現在はインターネットを利用して、海外からもIP電話がかけられたり、複数のEメールアドレスをもったりできるサービスもあるので、自分の用途にあったプロバイダを選択するといいだろう。

プロバイダ契約時の確認点

契約している国内のプロバイダが海外接続サービスを行っていれば、接続の設定を一部変更するだけで現地でインターネットを使用できる。大手のプロバイダは、現地のアクセスポイントを設置したり、現地のローミングサービス会社と直接提携したりして、海外接続サービスを提供していることが多い。ユーザーは現在、使っているEメールアドレスをそのまま海外で使えるため、渡航後も日本とEメールのやりとりをできることが大きな利点となる。
料金は、基本料金とは別に海外接続サービス料を別途、課金するプロバイダが多い。基本料金のみの場合は、利用可能な国・地域が限られることが多いので注意したい。
現地のプロバイダに加入する場合、物価やインフラの関係で接続料金が安くなる場合が多い。ただ、言葉に自信がない人は、日本人や日系人が運営しているプロバイダに加入するという手もある。しかしトラブルがないように、利用システムや支払いの方法、解約の条件などをしっかり把握しておく必要がある。現地の知人から情報を仕入れながら、値段と質、付加サービスなどを考慮し、自分に最も適したプロバイダを見つけよう。

ネット販売の利用

最近はインターネットを利用して、海外在住者の手元に生活用品などを配送してくれるシステムが整備されてきた。取り扱い業者のホームページを開いて、ほしい物を探し、必要経費や支払方法、納期などを十分に確認してから注文できる。購入したい商品が提示されていなくても、希望する商品名(できれば型番も)を示せば、たいていは手配してもらえる。
取り扱い業者を選ぶ場合には、商品代、梱包・発送手数料、海外送料、輸入関税、業者の手数料などをあらかじめ示してくれるところを選ぼう。代金支払いは商品到着後とするほうが安心である。地域によっては、通関手続きを自分でしなくてはならない場合もあるが、一度やってみれば意外と簡単である。また普通は、その荷物が、いまどこまで来ているかをコンピューター追跡できるようになっている。到着が遅いようなら問い合わせてみよう。