海外赴任リロケーションガイド赴任の準備方法や手順など、生活の基盤となる情報をご紹介

家の税金

家を貸した場合の税金

サラリーマンでも家賃収入などを得た場合は、不動産所得として確定申告が必要となる。不動産所得は総収入-経費=不動産所得となる。不動産所得はほかの給与所得などと合算して総合課税される。経費として認められる主な項目については右表に掲げた。具体的には、総収入(家賃・礼金など)から右表の経費を引いた額(不動産所得)から、さらに基礎控除38万円を引いた額に課税される。この課税対象となる所得が330万円以下ならば、税率は10%である。
海外赴任者の場合は非居住者の扱いとなるので、少し事情が変わる。通常、海外赴任者が国内で不動産所得などが発生する場合には、納税管理人を立てて代わりに確定申告をしてもらう必要がある。

また、借り主が法人の場合に限って賃料収入から毎月源泉徴収される。この源泉徴収の納税義務は借り主である法人に課せられており、その税率は20%である。たとえば、赴任期間中に所属企業に持ち家を借り上げてもらうようなケースがこれに該当する。源泉徴収額が実際の税額より超過している場合は、確定申告で還付請求することができる。この還付請求権は5年以上経過すると時効により消滅する。したがって、海外赴任者は納税管理人を親族などに依頼して毎年、税額の過不足を調整するか、帰任後に5年分をまとめて還付申告するか二通りの方法がある。
詳しくは、もよりの税務署に問い合わせるか、国税庁のホームページなどを参考にするとよい。

経費となる項目

  • 固定資産税、都市計画税

  • 建物の減価償却費

  • 住宅ローンの支払利息

  • 建物にかけている火災保険料

  • 貸し出すに際して行った修繕費(ハウスクリーニングなど)

  • 賃貸期間中に発生した修理費(給湯器の修理など)

  • 不動産会社などに業務を委託した場合の手数料

  • マンションの管理費

  • その他、賃貸にかかわる費用


固定資産税・都市計画税

毎年の固定資産税や都市計画税の納付は、東京であれば都税事務所へ、そのほかの地区では各市町村へ納税管理人の届出を行う。以降は、納税管理人へ納付書などの書類が送付されるようになる。
納付は、納税管理人に代わりに納めてもらう方法と銀行の自動振替サービスを利用する方法がある。

住宅ローン関係の手続き

海外赴任が決まったら住宅ローン関係の手続きを忘れてはならない。借入先が住宅金融公庫の場合は、「融資住宅留守管理承認願」を提出する必要がある。書類は金融公庫の窓口となっている銀行から取り寄せて必要事項を記入したうえで提出する。融資住宅留守管理承認願には管理人を記入する欄があるが、通常は親戚などの身内を記入する。 赴任中の公庫からの書類などは、海外には送付されずこの管理人に送付される。「承認願」の手続きがとれない場合や届出をしないで賃貸をする場合、一括返済を求められることがあるので十分注意したい。借入先が民間の金融機関であれば、住所の変更届などの所定の手続きを行う。その際に融資残高の証明書などの書類を海外まで送付してもらえるかどうか確認しておく必要がある。

また、海外赴任中も住宅ローンの支払いが滞らないよう引き落とし口座に毎月一定の資金があるように手続きをしておく。たとえば、所属企業に、毎月の給与の一部やボーナスを引き落とし口座に振り込んでもらうように依頼する。自宅を貸し出す場合は、その賃料を引き落とし口座に振り込むように不動産会社などに依頼をしておく。

海外赴任を機に住宅ローンの借り換えの検討をしてみるのもよいだろう。低金利時代であることと、住宅ローン商品の多様化により、借り換えることによって大きな効果を得られるケースが増えている。 住宅ローンには大きく分けて、固定金利と変動金利および一定期間固定金利の3種類がある。このなかで、借り換えのメリットが得られるケースが多いのは、高金利時代に借りた固定金利である。 一般的に、次の三つの条件を満たしていれば、たいていのケースで借り換えのメリットが出るといわれている。また、借り換えによりボーナス返済をなくすなど、返済スケジュールを見直せるのもメリットといえる。

  • 借り換え後の金利差が1%以上である

  • 返済期間の残りが10年以上である

  • ローン残高が1,000万以上ある

最近では、住宅ローン商品の多様化により各社が特色のある住宅ローンを提供するようになった。キャンペーン金利の適用や借り入れに対する保証料が無料、担保価値が下がっていても現在の担保価値の200%まで融資をしてくれるなど、住宅ローンも選択する時代となった。

海外赴任者に対しても借り換えの相談に応じてくれる銀行
オリックス銀行

住宅ローンの控除について

住宅借入金等特別控除は、その対象となる住居に居住していることが条件となっているため海外赴任者は受けることができない。ただし、単身赴任で家族が引き続きローン対象の住居に住んでいる場合には適用の対象となる。この場合でも、本人の赴任中は非居住者の扱いで、国内では所得税が課税されていないので実質の還付金はない。本人が帰任後に、再び国内給与に所得税が課税されるようになってから、控除され還付金が発生する。
また、法改正により2003年4月1日以降に、やむを得ない事情で対象となる住居に居住しなくなった場合(転勤など)でも、再び帰任などにより対象となる住居への居住を開始した場合には再度、適用申請ができるようになった。この場合、転勤前に「転任の命令などにより住居しなくなる旨の届出書」を提出する必要があるので、忘れずに手続きをしておこう。
住宅借入金等特別控除を受けるための手続きは、最初にこの特別控除を受ける年の分は確定申告を行い、翌年以降は年末調整により控除を受けることができる。ただし、この特別控除はその年の12月31日の時点で対象の住居に住んでいることが条件となるため、たとえば11月に家族とも海外へ赴任したような場合には、その年の控除は受けられない。