エリア別ガイドビザ・住宅各国の代表的な都市別に、基本情報から交通・医療・住宅情報などをご紹介

オーストラリア

就労ビザ 482 ビザ

オーストラリアに滞在し、就労する場合は「就労ビザ(Skills in Demand Visa(Subclass 482))」が該当し、ビジネスのサイズやポジションに関わらずこのビザを取得する。また、帯同する家族も同じビザのクラスとなり同時またはあとからの申請が可能。2024年12月よりTemporary Skills Shortage Visa から改正されたが根本のしくみは同じであり「研修ファンド」への寄付が必要など、他国のビザ申請に比較してかなりの高額になるため、赴任計画をする上で注意が必要。
482ビザ申請には①スポンサーシップ②ノミネーション③ビザと3つの申請が必要であり、全て許可されて初めて就労ビザが発行となる。申請方法はオンライン申請となり、年収金額により審査期間が迅速化する。また、オーストラリア移民法は他国に比較して頻繁に法改正が実施される事、そして、各要件も詳細に規定されているため、常に最新情報を入手する事が重要であり、オーストラリア移民法に精通した弁護士やビザコンサルタントに代理申請を依頼する事が大半である。
特徴的な点として、オーストラリアはビザシステムにおいて世界的にもオンライン化が最も進んだ国であり、現在ビザはパスポートに貼付せず、全て「ビザ発給レター」として書面で発行となるもののみである。このビザデータは各航空会社予約端末などで確認可能であるため、実際パスポートのみの提示でもビザが確認できるシステムとなってい る。

主な就労用のビザ

・Skills in Demand Visa (subclass 482)

申請・取得の基本パターン

パターン①

必要書類

①スポンサーシップ

<雇用主となる法人の審査>
・会社概要など、企業経営に関わる資料
原則、5 年間有効のため有効期限中は申請不要

②ノミネーション

<派遣する職務ポジションの審査>
・ANZSCO職業コードに準じた職務内容を規定し、職務内容や雇用契約書などが必要
・給与水準により区別される
1. Specialist Skills Stream
ANZSCO職業コードの主要グループ1,2,4,5,6に記載されている職業に従事し、給与が専門技能所得基準 (Specialist Skills Income Threshold-SSIT) を満たす場合(AUD135,000:2024年12月時)
2. Core Skills Visa Stream
Core Skills Occupation list (CSOL)にある職業に従事する場合
給与はCSIT (Core Skills Income Threshold) AUD73,150以上(2024年12月)
*もう1つLabour Agreement Streamというのが存在するが日本からの赴任者はほぼ利用しないため割愛します

③ビザ

<就労者や帯同家族の審査>
・過去5年のうち最低1年以上関連した職務経験が必要
・英語力(状況により免除)
・個人情報関係資料など

取得までの流れ(赴任者本人)

スポンサーシップ申請
5年間有効

 ▼

ノミネーション申請
派遣するポジションの詳細雇用契約書

 ▼

ビザ申請
審査期間は2ヶ月~

 ▼

ビザ許可
全て許可されてビザが発給

 ▼

赴任

VISA情報は変更になる場合がありますので、詳細は下記へご確認下さい。

<問い合わせ先>

●在日オーストラリア大使館

〒108-8361 東京都港区三田2-1-14
TEL:03-5232-4111
https://japan.embassy.gov.au/tkyojapanese/visa_main.html

 オーストラリア就労ビザ改正予定
~TSSからSkills in Demand ビザへ~

 オーストラリア政府は 2023 年12 月に「Migration Strategy for Australia」として本格的にコロナの収束を経て、国として経済・社会において国際競争力にも勝てる強い国にする為、今後の移民政策および戦略について大々的なプランを発表しました。構成する国民および移民による人口政策が切実であり、全体的にこの質を上げるうえでの具体的な8つの目標に対しアクションプランを発表しました。概要は以下となります。
• ターゲットを絞った技能移民と、優秀なグローバル人材のための新たな合理化された経路
• 国際教育の質を高めるための、留学生と教育提供者に対するより高い基準
• 労働者の搾取に対処し、賃金と労働条件を保護するためのビザ設定
• オーストラリアの地方が熟練労働者に迅速にアクセスできるよう支援
• 移民をパンデミック以前の水準に戻し、適切なスキルを適切な場所に確保するための 移民計画への新 たなアプローチ

 2024 年はこの実践元年として段階的に進めてきた年となり、特に顕著だったのは学生ビザの厳格化です。人口増の約半分が移民によるオーストラリアにとって、潜在的な移民となる学生のクオリティを上げる事でその後永住者として労働市場への重要な人材として位置付けるためにこの厳格化が進みました。また、2024 年中に就労ビザの改正が実施予定であり、概要は発表となっております為、この記事提示時点では確定ではありませんが、参考として概要をご提示いたします。
 現在オーストラリア就労ビザはTSS (Temporary Skill Shortage)ビザ (Subclass 482) として 1 つの種類になります。ターンブル首相時に職業リストが2つに区別され、短期的職業リストの場合はこのビザの後、永住ビザ申請が不可能となりましたが、その後、2023 年7月に短期的職業リストでも永住ビザが申請可能となりました。今回の改正の大きなポイントはより戦略的にオーストラリア労働市場に高度人材の投入および永住への道を開くことで、国全体の人材クオリティを上げ生産性を高めていこうという意図があるとみています。その為、特に重要な職種(Specialists Skills)は審査の迅速化などを保証するもので、現行よりも緩和かつ効率的なビザプログラムに変更になると予測されます。高度人材にとっては審査が迅速化する点が日本企業の皆様にとっては大きな優位点と思います。

TSS(482) から Skills in Demand ビザへ

しくみとして大きく3つに区別されます。日本国籍の方はおもに1,2を多く利用すると予測しています。

1. Specialist Skills Stream
• 職業リストがなく、迅速に手続きが完了予定
• ただし、技能職、機械オペレーター、ドライバーなどはこのビザクラスから除外
• 年収 135,000 ドル以上の人を対象

2. Core Skills Stream
• 就労ビザのうち大半がこのカテゴリーなると予測され、現在2つある職業リストが 1 つの Core Skills Occupation list (CSOL) に変更となるため、このリストに基づき、申請実施。しくみは現行に近いしくみとなる。
• 給与は TSMIT AUD73150 以上となり(現行)、毎年見直し

3. Labour Agreement Stream
• 特定の職種で人材が不足している場合に、オーストラリア国民の生活水準を支えるために不可欠な労働者を誘致目的
• 現行の 482 ビザが適切に対処していない搾取のリスクを最小化するため、低賃金の熟練移民を保護することを目的
• 年間収入が TSMIT(2024 年 7 月 1 日現在 73,150 ドル)を下回る
•オーストラリアで持続的に不足している必須スキルを伴う職業に従事し、経済へのケアとサポートを提供
• 政府は、現行の労働協約 (Labor Agreement) を検討し、このカテゴリーを効果的かつ倫理的に実施するために、より多くの労働協約を修正・導入するための作業を継続

 日豪経済交流は年々活発化しており、日本からのオーストラリアへの投資も資源やクリーンエネルギーをはじめ、金融、不動産そのほか業界も広範囲になりつつあります。

 人口をみすえての移民政策は刻々と変化するものであり、オーストラリアは特にそのスピードが他国に比較してもめまぐるしい状況です。常に最新情報を取得し、適切なビザ申請を実施することがスムースな取得につながりますので、最新情報については移民省ホームページをご覧ください。

<以下参考>
https://immi.homeaffairs.gov.au/visas/getting-a-visa/visa-listing/skills-in-demand-visa-subclass-482

AOM ビザコンサルティング
https://aom-visa.com
代表 足利弥生
主にオーストラリアやニュージーランドへ進出する日系企業へ就労ビザを中心にビザコンサルティングを提供。個人の皆様へは投資家ビザ(オセアニア・アメリカ・イタリア)サービスを提供。
元在日オーストラリア大使館内務省上級審査官