知っ得ポイント海外赴任・出張で困らないために知っておくと便利なノウハウをご紹介

赴任のタイムチャート

 情報を集めながら、ある程度の大まかな計画を立ててみよう。だいたいの流れは表のようになるが、あくまで目安である。
 たとえば、子どもの教科書をもらおうとしても新年度の教科書がまだ刷り上っていないということもある。
 一度決めたことでも、家族で話し合って適宜修正していけばよい。また、計画はできるだけ「派遣者(夫)」と「家族(妻・子)」の二段組みにして立てておこう。
「わが家の赴任計画」として、この時期に誰が何をすべきかひと目でわかるようにしていくと便利である。

帯同の検討

夫婦・家族で話し合う

 海外赴任は、家族のあり方や子どもの将来について、いやがおうでも考えさせられる契機になる。赴任先に、よほどの問題がないかぎりは家族帯同が望ましいのだが、子どもの教育問題、とくに子どもが有名校に在籍している場合は悩みも大きいと思われる。
 子どもを日本に残していく前提として「安心できる預け先があるか」という問題は避けられない。また、本人の性格や成熟度、生活力などによっても、家族が別れて暮らすリスクは大きく変わってくる。
 他方、海外に帯同する場合には、慣れない環境や異文化のなか辛い思いをすることがないわけではない。とくに学齢期の子どもであれば、現地の学校に慣れるのに苦労するし、数年後帰国した際にも試練が待ち受けているので、本人が前向きな姿勢をもてるように支える必要がある。
 いずれにせよ、家族のあり方や子どもの将来について夫婦がしっかりした方針をもち、家族全員でよく話し合っておかないと、辛さの度合いが増すことになる。また、赴任先の生活環境・教育環境についても、「何とかやっていける」と言えるまで調べておきたい。
 「海外子女教育振興財団」(181頁)はそのための専門機関であるし、企業の相談室やアウトソース会社、帰国した母親のボランティア団体など、相談できる場は決して少なくない。インターネットで相談に応じているサイトもある。「この国は絶対ダメ」という赴任国はないはずだから、帯同する場合の状況と日本に残す場合の状況とを、納得いくまで比較検討しておこう。

子どもが残る場合

 中学・高校生の子どもを残す場合は、寮のある学校に編入学する、企業などの「子弟寮」に入る、学生会館など民間の寄宿舎に入る、といった選択肢が考えられる。よほど親しい親戚でもあればよいが、下宿生活はまず無理である。  寮のある学校については、海外子女教育振興財団が「帰国子女のための学校便覧」などで一覧表を公開しているし、受験情報誌などでも紹介されている。幼いころから全寮制の進学校に入学する予定で準備してきた場合は別として、最近は寮生活に耐えられない子どもも少なくない。本人に、相部屋となることや時間を守ること、作業分担などがあること、掃除・洗濯は自分ですることなどをよく説明し納得させる必要がある。
 企業などの子弟寮は、転勤する社員・職員の子どものために設置するもので、教職経験のある夫婦が舎監として住み込んでいる場合が多い。通常は「賄い(食事)」はもちろん、いろいろ親代わりに面倒をみてくれる。場所や条件などについては勤務先の人事部に聞くとよい。
 学生会館など民間の寄宿舎は、大都市の学校・大学に遠隔地から入学する青年のための施設で、探せば「賄い付き」のところもある。篤志家が設置したもの、あるいは都道府県の寮といったものから民間企業が経営する「学生会館」まで千差万別だが、中学・高校生まで預かるところは少ない。親代わりに面倒を見てくれるマネージャーが常駐しているかどうかも確かめておきたい。JOBAガーディアンシップセンターは学習塾が経営する寄宿舎で、教員も泊まり込んでいる。

高齢者が残る場合

 高齢の父母を残していく場合は、本人の生活能力しだいでさまざまなかたちが考えられるし、近くに面倒をみてくれる親戚がいるかどうかによっても変わってくる。何はともあれ、市区町村の役所の担当窓口(「高齢者福祉課」「保健福祉センター」「社会福祉事業団」など)に相談してみるとよい。「寝たきり・独り暮らし」の高齢者のためのサービスや、近くにある老人ホームなども紹介してくれる。  最近、学生会館のノウハウを背景に、高齢者を受け入れる施設もできてきた。一般の老人ホームのような高額の「一時金・保証金」は不要で、賃貸住宅とほぼ同じ契約形態になっている(2年ごとの更新で、入居・退去はいつでも可能)。施設にはケアのマネージャーが常駐するなど救急体制が整えられている。また、各部屋のキッチンで料理ができたり、食堂で食事をとったりすることもできるなど、住む側に立ったサービス体制が整っている。通常は介護サービスのシステムも用意され、途中から介護が必要になった場合でも、そのまま住み続けることができる。
 いずれにせよ、所帯を分けることは出費がかさむことにつながる。しかし、子どもや高齢者を学生会館やシニア住宅などに預ければ、空き家になった自宅を賃貸して運用することも可能になる。「仕方がない」などと後ろ向きに考えないで、前向きな生活設計を心がけたい。

主な学生会館(ドミトリー)

計画の立て方

情報の収集から

海外赴任が決まると、「現在住んでいる住居をどうするか」から始まり、「日本に残していく荷物と赴任先へ持っていく荷物の仕分け」「子どもの転校手続き」「予防接種」など、処理しなければならない用事や作業が次々に重なってくる。
心身ともに負担が大きくなることはわかっているのだから、早めに大まかな計画を立てるとともに、さまざまな生活関連の手続きや引越しの手順など、出発までに必要な項目を一覧表にしたチェックリストを作っていきたい。 海外赴任が決まったら、まず赴任国に関する著書やガイドブックなどを入手して簡単に目を通しておこう。
赴任国の政治・経済・社会・文化・教育・保健など、入手した基礎的な情報は、項目ごとにファイルしておくと便利だ。そのなかでもとくに重要と思われるものは、専用のノートにまとめておくとよい。 資料の収集と並行して、勤務先や海外赴任サポートの専門業者などが主催する赴任者講習会に参加すれば、さらに詳細な情報を得ることができる。講習会では、赴任のための各種手続きから引越荷物のまとめ方や送り方、現地における住まい探し、子どもの転校手続きなどまでアドバイスしてくれる。

計画を立てる

情報を集めながら、ある程度の大まかな計画を立ててみよう。情報収集も計画も、家族みんなで話し合っていくことがコツである。それも、できるだけ明るく前向きに考えるようにしよう。 一度決めたことでも、新しい問題が出てきたら、再度みんなで話し合えばよい。また計画は、「夫」と「妻子」の二段に分けて立てていくと便利である。とくに夫が先に赴任する場合は、夫婦の役割分担が不明確だと事務処理の漏れや手違いが生じやすいので気をつけよう。

準備の進め方

旅券(パスポート)の取得は早めにすませ、ビザの申請は勤務先または旅行代理店などに手配してもらう。
電気・ガス・水道など生活関連の通知や連絡のほか、固定資産税や子どもの学校の手続きなども、スケジュールができれば順調に進めることができる。
なお、市区町村役所に国外転出届を出してしまうと印鑑証明がもらえなくなってしまう。自動車の売却などがあるときはとくにスケジュールに気をつけたい。
特集として「各国ビザ情報」を掲載した。アメリカ、フランス、イギリス、中国などのビザ取得の手順のほか、ビザの用語などについても取り上げた。

住まいの手続き

旅券(パスポート)の取得は早めにすませ、ビザの申請は勤務先または旅行代理店などに手配してもらう。
電気・ガス・水道など生活関連の通知や連絡のほか、固定資産税や子どもの学校の手続きなども、スケジュールができれば順調に進めることができる。
なお、市区町村役所に国外転出届を出してしまうと印鑑証明がもらえなくなってしまう。自動車の売却などがあるときはとくにスケジュールに気をつけたい。
特集として「各国ビザ情報」を掲載した。アメリカ、フランス、イギリス、中国などのビザ取得の手順のほか、ビザの用語などについても取り上げた。

引越しの手配

収集した情報にもとづいて引越荷物の準備を始めるが、現在使っている荷物を、日本に置いていくものと赴任地へ持っていくものとに仕分けするのもひと仕事である。
電気製品は、ものによっては課税されたり持ち込めなかったりすることがあるので、確認しておこう。ラジオやビデオデッキなど赴任国の周波数・放送方式などによっては使用できないものもある。日本に残していく荷物は親戚などに預かってもらってもよいし、トランクルームなどを利用する方法もある。< br /> ペットを連れて海外へ赴任される方も多いと思う。ペットの送り方・持ち込み方、動物の医療、ペットフード、ペットシッター、ペットホテルなどを取り上げた。

保健・医療

赴任地が決まったら、インターネットなどを使ってできるだけ現地の最新情報を集めるようにしよう。前任者から医療や健康に関する体験談、アドバイスなどを聞いておくのも一つの方法だ。あとで役に立つことが多い。
情報を集めたら、家族全員の健康診断や予防接種について、学校やかかりつけの医師に相談し、アドバイスを受ける。治療中の疾病はできるだけ治しておきたい。あわせて、健康診断書や母子手帳、保険証書などの重要書類を整理していこう。気候・風土・生活・習慣などが変わると体調を崩すことが多い。赴任地に着いたら、家族全員の心身の健康管理に心がけよう。

子育て・教育

海外に子どもを帯同する場合は、どういうふうに育てたいかの方針を夫婦でよく話し合っておくこと。小学校高学年以上の子どもならば、本人の性格や希望にも配慮する必要がある。年齢によって必要な準備や手続きも異なってくるので、必ずチェックリストを作って、学校関係の書類、教科書の受領などに漏れのないように気をつけよう。
ここでは、海外での子育ての準備から教育の選択、帰国後の教育、さらに海外での出産についても取り上げた。

赴任地での暮らし

赴任先に着いてからも、しばらくは多忙な毎日が続く。出発前に立てた計画通りに進まないことも多いが、チェックリストをしっかり作っておけば、焦る必要はない。不便さや不自由さばかり気にしないで、現地生活に明るい希望をもつようにしよう。
ただし、安全対策には出発前から心構えが必要で、「自分の身体と財産は、自分自身で守る」という基本を忘れないようにしよう。